最近、野菜の垂直仕立て栽培が気になっている。
今は、トマトの栽培でかなりの数、垂直仕立ての実験栽培をしている。
その成果も少しずつ実感としてわかるような結果が出ている。
2019年06月14日 

植物の枝や茎を垂直にして育てると植物が元気に育つ。そして、糖度も高くなり甘く美味しい実が出来るという。
その理由や原因が、なぜかという疑問が出てくる。

その答えが、植物が自らつくる植物ホルモンを活性化させる方法であるからだと説明している。
つまり、理由を理解するには、植物ホルモンの種類やその働き方の性質を知ることが必要である。

中でもオーキシンと云う植物ホルモンは、植物の先端で作られ、植物全体の生育に関わっているホルモンで、天辺から根の方向に向かって移動して行くという。
この時、脇枝や脇芽が斜めや横になっているよりも、垂直になっていた方が重力の力を借りてスピーディに根の方向に移動していく。このオーキシンは他のホルモンの親分のような感じで、葉っぱや芽や茎の細胞の生長や発根を促進するというオールマイティな働きをするようだ。

私のイメージでは、脇芽を残すことで、さらにオーキシンの生成量は増えるだろうし、葉の数も多くなり、さらには発根作用によって根もたくさん生え、長く遠くまで伸びることだろう。
そうなれば、葉で光合成によってつくられた糖分は実に蓄えられて、糖度の高い美味しい実となるであろう。また、根を成長させる働きによって、たくさん育った根によって土中の広い範囲からも養分を集めることができるであろう。

しかし、オーキシンと云う親分一人では大きな仕事は出来ない。他のホルモンとの共同作業でさらに力を発揮するようである。しかし、オーキシンに逆らうホルモンもあり、バランスを保っているようだ。

他のホルモンの中には、折れた枝の切り口からばい菌が入らないように、傷口を速やかに塞ぐはたきをするものもある、さらにサリチル酸は、ウイルスやバクテリアなど様々な病原微生物に対する抵抗性(
全身獲得抵抗性)を誘導する鍵となる物質として働くことが知られているようだ。

アブシシン酸という植物ホルモンは、環境ストレス耐性獲得性質があるという。

垂直仕立て栽培が、病虫害に強い植物に育つ理由である。

ナスやトマトの根はどのくらい伸びるのであろうか?スイカでは縦に1m、横には2m以上も伸びるらしい。根がたくさん出て長くのびれば、無肥料栽培でも広い範囲から養分を確保することができるだろう。これは、垂直仕立て栽培が無肥料栽培に威力を発揮する理由であるだろう

果樹栽培の基本は、勢いのある徒長枝は切ることである。柿の木など太い枝を切ると、翌年何本もの徒長枝が天に向かって真っすぐに伸びる。その徒長枝をすべて剪定をすることとなる。
梨畑を見ると、収穫が終わるとたくさんの徒長枝が空に向かって伸びている。ナシ栽培の冬場の仕事は、この徒長枝を切ることから始まる。

しかしながら、垂直仕立て栽培の果樹栽培では、この徒長枝を何本か残すことを推奨しているようだ。
考えてみれば、田舎の家の柿の木は、猿蟹合戦のように木に登って採らないと、大きくて高くて取れないぐらいだ。しかも鈴なりのようになっている光景が見られる。低い高さに剪定するのは、作業者の都合からでた剪定の方法であろう。

垂直仕立て栽培と云うのは、今までの農業が土壌改良や肥料の改良、農薬の改良などの植物の外回りの問題を解決してきたことに対して、植物自身の内面のもともと備わっている生きる力を最大限に生かしてやる方向の栽培法のように思える。

人間に例えるなら風邪に効く薬は無いが、風邪に罹らない自然力と云うか抵抗力を持つことが大事で、そのためには良く食って、良く働いて、良く寝ることに似ている。植物が本来持っている自然治癒力や生命力を最大限に生かすことが、植物ホルモンを活性化させることなのだと思う。


以下は、道法流垂直仕立て栽培の利点と植物ホルモンをまとめたものである


道法styleとは


「道法style」とは、道法正徳氏が提唱する、剪定などにより、作物を垂直に仕立てて、作物の植物ホルモンを刺激することにより、病虫害に強い、収量も多い農業を実現するもの。

 

道法styleのしくみ

「道法style」は、剪定等により、植物を垂直に近い形に保つことで、植物ホルモンを刺激する手法

 

『オーキシンを活性化し、糖度を上げる、多くの根が出るといった効果があり、健康な成長と果実の食味が両立することができます。

一方で、ジベレリンが多くなりすぎるのを抑制し、ジベレリンの特性である果実の糖度低下を防止し、エチレンの低下も防ぐことから、病害虫に強くなります。

窒素肥料を与えると、植物が大きくなるのは、ジベレリンが活性化するからであり、窒素肥料はエチレンの働きも抑えるので、病害虫に弱くなる。』


 資料元

20170929073629854




なぜ、道法流垂直仕立て栽培では、茎や脇芽を垂直にするのであろうか?
それは、植物ホルモンのオーキシンの移動の性質が理由となっているのだろう。

オーキシンの植物内の移動の仕組み
『オーキシンは、植物の成長や形態形成で中心的な役割を果たす植物ホルモンであり、特に光や重力に対する植物の屈性に関与することで知られています。植物は細胞膜上の輸送体を使って、決まった方向へ輸送(極性輸送)しています。植物の茎が重力を感じると、重力方向へと移動し、濃度の高くなった重力側の細胞伸長を促進することで屈性を引き起こします。』

 

オーキシン

細胞の成長促進

発根(不定根)促進

落葉・落果の抑制

頂芽優勢(側芽成長抑制

茎先端部で合成され、伸長域に移動して作用する(極性移動)。

濃度によっては成長を抑制する。

極性移動とは? オーキシンは、ほとんど茎に対して垂直方向、つまり根の方向にしか移動しない。茎が横になっていても、根のある方向に移動する。
移動は極性移動によっていて、その極性が重力の影響を受ける。

植物の先端部で作られたオーキシンが極性移動によって根のある方向に進みやすくするため、重力の影響を受けやすくなるように茎を垂直にしているのであろう。
資料元

auxinpicture



様々な植物ホルモンの働き



hormone




ジベレリン

種子発芽の促進

果実の形成

細胞の伸長成長促進

種なしブドウに利用。

光発芽種子では、光照射と同じ効果を示し、発芽させることができる。

 

サイトカイニン

細胞分裂促進

植物の老化遅らせる

側芽を成長させる

気孔を開く

オーキシンと共同で働くことが多い

主に根で合成され、全組織に分布する。

 

アブシシン酸

種子の休眠(発芽抑制)

気孔を閉じさせる

根の伸長抑制

環境ストレス耐性獲得

ジベレリンと対抗的に働く

サイトカイニンと対抗的に働く

 

エチレン

果実の成熟

落葉・落果促進

肥大成長促進

伸長成長抑制

植物ホルモンで唯一気体のホルモンである。

 

フロリゲン

細胞の伸長成長促進

◦落葉・落果の抑制

新しい植物ホルモンの科学 第3版

第1章 序章

第2章 オーキシン

第3章 サイトカイニン

第4章 ジベレリン

第5章 アブシシン酸

第6章 エチレン

第7章 ブラシノステロイド

第8章 ジャスモン酸

第9章 ペプチドホルモン

第10章 フロリゲン

第11章 ストリゴラクトン

第12章 サリチル酸


植物ホルモンのサリチル酸は植物においてどのような働きをするか?

『病原菌に感染するとサリチル酸を合成し、それによって病原菌への防御が誘導されると考えられています。』

サリチル酸は、ウイルスやバクテリアなど様々な病原微生物に対する抵抗性(全身獲得抵抗性)を誘導する鍵となる物質として働くことが知られている。』


≪垂直仕立て栽培の過去記事≫

 

★トマト垂直仕立て 多収穫≫の画像 20190614

★Cf9とプチぶよの葉かび病 垂直仕立て 20190611

★トマトの垂直仕立て 良いかもしれない! 20190606

★トマトの垂直仕立て栽培とは? 20190517

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